旧指定成分や無添加、オーガニックに囚われない、危険な成分と安全な成分 18.07.20  (更新: 

旧指定成分や無添加、オーガニックに囚われない、危険な成分と安全な成分

化粧品成分は日本では「無添加」や「オーガニック」とう言葉に対して、明確な定義がないにも関わらず、各化粧品メーカーは「無添加化粧品」や「オーガニック化粧品」といって、安全性をアピールしています。

また、厚生労働省が以前に旧表示指定成分として103種の特定成分に対し、「ごくまれにアレルギーなどの皮膚障害を起こすおそれのある成分」として薬事法で表示義務としていましたが、2001年3月かから「全成分表示」が義務付けられ、この旧表示指定成分はなくなりました。
しかし、今だに旧表示指定成分が有害な悪い成分というような、認識が広まっている傾向にあります。

旧表示指定成分だけが危険な成分というわけでもありませんし、旧表示指定成分の中にもそれほど危険ではない成分も指定されています。
「旧表示指定成分」=「体に有害な危険な成分」という意味ではないのです。

また、前述のように明確な定義がないため、「無添加」や「オーガニック」を謳う化粧品だから、全ての人にとって安全とも言えません。

ここでは、旧指定成分や無添加、オーガニックに囚われない、危険な成分と安全な成分について、ご紹介していきます。

「PG(プロピレングリコール)」は危険?

PG(プロピレングリコール)は厚生省の旧表示指定成分に指定されていることもあり、その危険性についてネットではよくネガティブな情報を見ます。
たしかに毒性の強い成分ですが、化粧品やシャンプー、赤ちゃんに使うおしり拭き、ウエットティッシュ、保湿クリーム、歯磨き粉など実に様々なものに保湿剤として配合されています。

このPGがインターネット上では危険とする、不安を煽るような記事がたくさん目立ちます。

日本の厚生省にあたるアメリカの機関「FDA」(アメリカ食品医薬品局)が、PGによって皮膚炎から赤血球の減少、心臓、脳への障害などが発生する可能性があるという情報がありますが、結論としてはこの情報はデマのようです。
下記リンク先で、FDAの資料が閲覧できます。

CFR - Code of Federal Regulations Title 21(外部リンク)

Propylene Glycol(外部リンク)

要点を抜粋すると、

~プロピレングリコールは、多種多様な用途において50年以上使用されてきた。
薬学的添加剤として、プロピレングリコールは一般的に安全と考えられている。~
・・・
~プロピレングリコールは、化粧品中の保湿剤として、および香料中の分散剤としても使用される。
プロピレングリコールには多くの他の食品および工業的用途がある。
食品添加物として、プロピレングリコールは米国食品医薬品局(FDA)に一般に安全なリストとされています~
・・・
~食品添加物として、プロピレングリコールは体内で代謝され、通常の炭水化物源として使用されます。
長期間の使用と相当量のプロピレングリコール(全食物摂取量の最大5%)は、毒性を引き起こすことなく消費することができます。
現時点で、または将来的に合理的に予想される水準で使用された場合、公衆に危害を示すか、示唆するプロピレングリコールに関する入手可能な情報には証拠はない~

とあります。

要約すると、化粧品として配合される分には危険性はなく、食品添加物として配合される場合でも、全食物摂取量の最大5%を守っていれば毒性は引き起こされないということのようです。

ただし、小児に対しては下記のような記述もあります。

~しかしながら小児集団では、プロピレングリコールは毒性に関与している。
火傷に適用されたクリームの吸収による過浸透性の症例が報告されている。
接触性皮膚炎はまた、小児集団における局所適用でも起こった。
静脈内投与後、溶血、中枢神経系鬱、高浸透圧、乳酸アシドーシスが報告されているプロピレングリコールは代謝されて乳酸になり、これは報告された乳酸アシドーシスにつながる可能性があります。

肌の弱い小児や子供に対しては火傷や皮膚炎に対しての乳酸アシドーシスのリスクが報告されていますが、国立医薬品食品衛生研究所の資料では「アルコール脱水素酵素が低濃度であることによりリスクは低下する」としています。

プロピレングリコールのヒト生殖発生影響に関するNTP-CERHRモノグラフ(外部リンク)

プロピレングリコールは原液ではとても毒性が強く、原液での検証試験のリスクは深刻です。
しかし原液の状態では、ほとんどの有効成分がリスクがある結果となります。
また、アレルギーに関しては世の中の全てのものにリスクが付きまといます。

FDAによる情報もデマ、ドイツによる発がん性による規制という情報も「健康および環境への安全性が確認され科学物質」として認めれているので、デマのようです。
ネットではデマの情報を見た人が、そのデマ情報を信用して、また自分のブログなどでデマ情報を掲載し、すぐに拡散されていきます。

このように一部の都合の良い情報だけを抜粋し、「危険な成分が配合されている!」として特定の化粧品などを間接的に攻撃するようなネガティブキャンペーン合戦がインターネットでは特に多いです。。

プロピレングリコールによってアレルギー反応がない方は現状、安全な成分と言っていいと思います。

安全性に関する参考:PGの成分効果と毒性(化粧品成分オンライン)(外部サイト)

「BG(1,3-ブチレングリコール)」は危険?

結論から言うと、BGに関しても特別危険な成分ではありません。
こちらもPGと同じく、不安を煽るような情報を掲載しているWEBサイトなどが存在しますが、BGが特別危険というほどでもなく、他の有効成分と同じく、アレルギー反応を起こす方にとってはリスクがある、という程度です。
実際、BGによって肌トラブルの報告はかなり少ないようで、どちらかと言うと安心して問題ない成分のようです。

安全性に関する参考:BGの成分効果と毒性(化粧品成分オンライン)(外部サイト)

「シクロペンタシロキサン」は危険?

シクロペンタシロキサンとは化粧品やリンス、トリートメントなどに配合されるシリコン成分で、結論から言うと安全性の高い成分です。

シリコーン成分の人気の中、こちらも過剰に体への害をアピールしたメーカーによるネガティブキャンペーンによって、広められたデマ情報です。
これにより、ノンシリコーン製品がブームになり、人気を集めることになりました。。
しかし、シリコーンは本来、とても安全な有効成分ですので安心してください。

安全性に関する参考:シクロペンタシロキサンの成分効果と毒性(化粧品成分オンライン)(外部サイト)

「コカミドMEA」、「MEA (モノエタノールアミン) 」は危険?

このモノエタノールアミン(MEA)は皮膚からも吸収されやすく、皮膚や粘膜を刺激し、重程度の場合は麻酔作用や肺炎、肝障害、腎障害などを引き起こす危険性がある成分です。

しかしながら、化粧品における配合量はごく微量で、試験結果以外で深刻な肌トラブルの報告もないため、配合量に注意は必要ですが、必ず避けるべき成分という訳でもありません。

また、「コカミドMEA」は別名「ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド」と言いモノエタノールアミンとヤシ油脂肪酸とを縮合して作られた植物系の合成界面活性剤です。

これらMEA、コカミドMEAは国際がん研究機関(IARC)によって発がん性などの懸念を示唆されています。

しかしながら、化粧品として皮膚に塗布する場合に関しては、公的機関の試験結果から皮膚刺激や毒性はほとんとないものと考えられており、重大なアレルギー反応の報告もないため、特に避けるべき成分ではないと考えられます。

安全性に関する参考:コカミドMEAの安全性について(化粧品成分オンライン)(外部サイト)

「ホルムアルデヒド(メタナール)」は危険?

ホルムアルデヒドは食品などに含まれる場合、体に悪いということは有名ですが、化粧品に含まれる場合でもやはり有害とされます。
ホルムアルデヒドが皮膚に付着すると、アレルギーなどの皮膚炎を引き起こす可能性があります。

しかし、ホルムアルデヒドは乾燥するにつれて、皮膚への影響も低下し、完全に乾燥した場合はアレルゲンとしては非常に弱くなります。
肌へ塗布する化粧品成分として配合されていた場合を考えると、ホルムアルデヒドはほとんど液体状で配合されていると予想されますので、化粧品に配合されるホルムアルデヒドは有害で避けるべき危険な成分といえます。

安全性に関する参考:トシルアミド、ホルムアルデヒド樹脂の毒性について(化粧品成分オンライン)(外部サイト)

「イミダゾリジニル・ウレア」は危険?

「イミダゾリジニル・ウレア」は欧米では化粧品によく使われるホルムアルデヒド遊離型防腐剤で、ホルムアルデヒドを遊離生成する可能性のある成分とされています。

日本では粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すもののみに0.3%を上限として配合することができるとされていますが、皮膚に付着すると、アレルギーなどの皮膚炎を引き起こす可能性があり、注意が必要な成分です。

「ジアゾリジニル・ユレア」は危険?

「ジアゾリジニル・ユレア」は欧米では化粧品によく使われる防腐剤です。
この成分はホルムアルデヒドを遊離生成する可能性のある成分とされ、日本では規制されており、おそらく日本で販売されている化粧品には配合されていないはずです。。
輸入化粧品では配合されている可能性がありますので、もし配合されていたら、使わないようにした方がいいでしょう。

「2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール」は危険?

こちらも防腐剤として用いられる成分で、開発当初は毒性が低く、低濃度でも十分な抗菌効果が得られることから、医薬品や化粧品に広く用いられました。

しかし、分解されることで発がん性やアレルギー反応が誘発されるとされ、現在、日本では厳しく規制され、日本で販売される化粧品には配合されません。

もし輸入化粧品などで、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオールが配合されているものがあれば、使用しない方がいいでしょう。

安全性に関する参考:2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオールについて(ChemicalBook)(外部サイト)

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